ヨーカイ温泉

箱根に着いた
と、書いて暫く後
携帯を水没させてしまったため
せっかくの温泉での出来事を
記録しておくことができなかった。

この時期、箱根で温泉なんて、
ずいぶんとよさそうだ
と、思うだろうね。
良いのが普通だろうね。

ところが、恐ろしい事が起こった。
全く予期せぬ災難だった。
温泉の良いとこってなんだ。
のんびり、ゆったり温まって
くつろいで…とか
肌がスベスベするだとか？
そんなとこだよね。

ところが、おいらの浸かった風呂は
キョーフのヨーカイ温泉だった。

何だか、入浴剤が添加してあった。
天然でなく白濁していたので
それは承知の上でで入った。
なんだか分からない香りがしていた。

手ですくって嗅いでみたり、
顔をザバザバやったりした。
「何風呂なんだ？これ…」
見回してみる。
説明があった。

ん！
パイナップルエキス……
ま、大丈夫だよな、入浴剤だし
40℃越えてるし。
なんて、たかをくくっていた。

甘かった。
しばらくして鏡に映った自分を見た。
顔が真っ赤だった。
ノボセた赤さとはあきらかに違った。
？？？

風呂から上がって暫くたっても
真っ赤でピリピリしている。
体も痒くなった。

これはまさか…
やられた。

パイナップルエキスとは、
蛋白質分解酵素だったのだ。
あぁ…

医者にも珍しがられるほど、
この、果物の酵素に弱いおいらが！
全身その溶解酵素風呂に浸っちまうとは…

あ～、体表のかなりの部分が
酵素分解されてしまったぞ、きっと。
髪だって蛋白質だぞ、
分解されちまったらどうする？

せっかくの温泉で大ダメージ。
HPが一気に減ってしまった。